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建設現場に設置する「LEDビジョン」と「液晶ディスプレイ」はそれぞれメリットとデメリットがあります!
建設現場にデジタルサイネージの設置を検討されている方の中には、どの種類のデジタルサイネージを選ぶべきかわからないという方も多いのではないでしょうか?
一言で「デジタルサイネージ」と言っても、実は「LEDビジョン」と「液晶ディスプレイ」の2種類に大きく分けられるのです。
それぞれにメリットとデメリットがあり、建設現場の大きさや作業員の人数、使用用途によって「LEDビジョン」と「液晶ディスプレイ」のどちらを選ぶべきなのかが変わってきます。
そこで今回は、建設現場に設置する「LEDビジョン」と「液晶ディスプレイ」の違いについて「7つの項目」で徹底比較します。
「LEDビジョン」と「液晶ディスプレイ」の違いや、それぞれのメリットとデメリットがわからないという方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
デジタルサイネージとは?
デジタルサイネージとは様々な電子情報が流せる電子的な看板です。近年は工事現場への設置も多くなり、朝礼のラジオ体操の映像を流したり、安全注意喚起の情報を流すなど、朝礼看板として活用されています。
LEDビジョンと液晶ディスプレイの「定義や構造」
工事現場での活用も増えているデジタルサイネージですが、まずはLEDビジョンと液晶ディスプレイの「定義や構造」違いについて解説します。
LEDビジョンとは?
LEDとは「Light Emitting Diode」の略称で、日本語では「発光ダイオード」と言います。
ダイオードとは電気の流れを片方向にする部品のことで、その中で発光するものが「発光ダイオード」です。
このLEDを大量に並べて、1つのディスプレイにしているのが「LEDビジョン」です。
LEDビジョンに使用されているLEDの球には砲弾型・SMD・COBなどの種類がありますが、弊社の製品では1粒球がコンパクトなSMDを使用しております。このSMD1粒の中に LEDの1つの小さなランプを「SMD」と言い、この中に3色(赤、青、黄色)の発光物質があります。この3色を組み合わせて色を調整することで、LEDビジョンに情報や映像が流れるのです。
液晶ディスプレイ(LCD)とは?
LCDとは「Liquid Crystal Display」の略称で、これを日本語に翻訳すると「液晶ディスプレイ」となります。「Liquid Crystal=液晶」と「Display=ディスプレイ」の2つの単語を組み合わせて「液晶ディスプレイ」という言葉になっています。
「液晶(Liquid Crystal)」とは、液体と個体の両方の性質を持つ物質のことで、液晶に電気刺激を与えると光の屈折角度が変わります。
この特徴を活用して情報を表示させるのが「液晶ディスプレイ」です。
LEDビジョンと液晶ディスプレイの違いを「7の項目」で徹底比較!
LEDビジョンと液晶ディスプレイはどちらも建設現場で活用されていますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
そこでここからは「7つの項目」に分けて、それぞれの違いを徹底比較していきます。
比較項目1:輝度(明るさ)
ディスプレイの画面の明るさを示す指数としてcd(カンデラ)という単位が使われています。
LEDはそれ自体が発光しているため、工事現場に設置されるLEDビジョンは輝度が高いもので5,000cdくらいが一般的です。
一方で液晶ディスプレイは、液晶フィルムの後ろからバックライトで照らす構造です。
そのため、液晶ディスプレイはLEDよりも輝度は低く2,500cdほどのものが一般的です。
つまり、それぞれ光る小さなランプが密集してるLEDの方が明るく見えるのです。
工事現場が薄暗い場所であったり、逆に日光が強すぎる現場では、輝度が高いLEDビジョンの方が適していると言えます。
【豆知識 〜家庭用と業務用のディスプレイの違い〜 】
デジタルサイネージの多くは屋外で使われることを想定しているため、高い輝度が必要になりますが、一般的に室内で使われる家庭用テレビは500cdほどです。
詰所内にデジタルサイネージを設置する際に家庭用のモニターを設置される場合もありますが、業務用と家庭用では輝度が全く違います。情報共有をスムーズに行うためにも、詰め所でも家庭用ではなく、業務用のデジタルサイネージを設置することをおすすめします。
比較項目2:反射
特に建設現場が広い場合は、幅広い角度からデジタルサイネージが見られることになります。その際に、角度によっては画面が反射して見えにくいこともあるため、画面の反射についても注意が必要です。
液晶ディスプレイは、外側からガラス >> 液晶フィルター >> バックライトの順番の構造であるため、角度によっては表面のガラスが反射して見えにくいことがあります。
つまり、液晶ディスプレイはきれいに見える視野角が狭いということです。広い工事現場には適していませんが、狭い工事現場であれば見られる角度も限られるため液晶ディスプレイでも問題ありません。
一方でLEDビジョンは表面にガラスがないため、幅広い角度からきれいに見えます。つまり、広い工事現場であれば、LEDビジョンの方が多くの作業員が見えやすいということになります。
比較項目2:製品寿命
まずLEDビジョンと液晶ディスプレイを問わず、デジタルサイネージの設置場所が屋内よりも屋外の時の方が紫外線を受けて劣化が早くなります。
また、仮囲いに設置して24時間表示させ続ける場合も製品寿命は短くなります。
工事現場でデジタルサイネージを使う場合に、一般的な使用時間である1日8時間ほどの使用を想定すると、LEDビジョンの寿命目安が5〜10年(設置する環境により製品寿命が大きく異なります)となることが多いです。
一般的に液晶ディスプレイよりもLEDビジョンの方が技術進歩のスピードが早いため、LEDビジョンは年々製品寿命が長い商品が発売されます。
一方で液晶ディスプレイの寿命目安は3〜5年ほど(設置する環境により製品寿命が大きく異なります)で、設置環境や製品の性能にもよりますが、液晶ディスプレイよりもLEDビジョンの方が長く使えることが多いです。
比較項目3:メンテナンスのしやすさ
LEDビジョンは320mm角ほどのサイズのパネルを組み合わせて、1つのLEDビジョンを作ります。そのため、デジタルサイネージに物が衝突して破損した場合でも、破損箇所のパネルのみ交換が可能なので、メンテナンス費用が安いことが特徴です。
一方で液晶ディスプレイの表面は1枚の大きなガラス面であるため、一部分でも割れてしまうと修理が困難です。
また、液晶ディスプレイを使い続けていると、内部の液晶フィルターがよれてくることがあります。液晶ディスプレイが故障した場合は、新しい液晶ディスプレイと交換することが一般的です。
つまり、LEDビジョンの方が修理やメンテナンスがしやすいと言えます。
比較項目4:消費電力
全く同じ大きさのLEDビジョンと液晶ディスプレイがないため、近いサイズのもので比較すると、90インチのLEDビジョンの消費電力が1920Wで、86インチの液晶ディスプレイの消費電力が1300Wとなっています。
4インチのサイズ差はありますが、液晶の方が輝度が低い分、消費電力が少なく「省エネ」と言えます。
比較項目5:サイズとベゼル
メンテナンスの項目でも解説しましたが、LEDビジョンは320mmほどのパネルの組み合わせて作るため、基本的にはどんなに大きなサイズのデジタルサイネージでも作ることができます。
建設現場専用のデジタルサイネージを取り扱う「ヤマト広告株式会社」が建設現場に設置したLEDビジョンの最大サイズは200インチです。工事現場でも広い現場や作業員が多い場合は、200インチなどの大型のデジタルサイネージが必要になります。
一方で、液晶ディスプレイ1枚のサイズは大きくても80〜100インチほどです。それ以上の場合は、55インチほどの液晶ディスプレイを組み合わせて大きくすることは可能ですが、組み合わせたディスプレイの間にディスプレイの外枠部分(ベゼルと呼びます)が黒いラインのように入ってしまいます。
比較項目6:価格
LEDビジョンと液晶ディスプレイのコストメリットについては、設置するサイズによって異なります。
75インチを超える大型の場合は、液晶ディスプレイよりもLEDビジョンの方が安くなり、75インチ未満の場合は液晶ディスプレイの方が安くなる傾向にあります。(※生産時期やLEDビジョンのピッチ数により変わる場合がございます。)
また、メンテナンスコストはLEDの方が安くなることが一般的です。
詳細の金額については以下よりお問い合わせください。
比較項目6:視認距離
液晶ディスプレイは一般的なテレビのように、細かくきれいに情報や映像を表示させられます。また液晶ディスプレイは近くてもきれいに見えるのが特徴です。
一方で、4mmピッチのLEDビジョンであれば、4m離れた場所から見た時が一番きれいに見えるということになります。つまり、LEDビジョンは近くで見るときれいに見えないのです。
建設現場で大型のデジタルサイネージを設置する場合は、必然的に高い場所や遠い場所に設置することになり、LEDビジョンの視認距離のデメリットが気になりません。そのため、建設現場に大型のデジタルサイネージを設置する場合は、コストメリットがあるLEDビジョンが選ばれています。
建設現場では75インチを超える大型のデジタルサイネージを設置する場合は、LEDビジョンが圧倒的に多いですが、屋内のショッピングモールや空港、駅などより映像をきれいに見せたい場合は、大型のデジタルサイネージの場合でも液晶マルチディスプレイが使われています。
比較項目7:輸送コスト
LEDビジョンは320mm角のパネルを組み合わせて1つのデジタルサイネージを作るため、輸送時には1枚ずつ解体して運べる分、輸送コストはLEDビジョンの方が安くなります。
液晶ディスプレイは表面のガラスが割れないように運ぶ必要があるため、特殊な梱包を行い、場合によってはトラックをチャーターして運ぶこともあります。
項目7:設置時間、コスト
LEDビジョンは解体した状態で運べるメリットはありますが、設置現場で組み立て作業が発生します。ほとんどの場合はLEDビジョンの組み立ては1日作業となります。
一方で完成済みの製品の状態で出荷される液晶ディスプレイは、設置現場にユニック車やクレーン車があれば簡単に設置できます。
LEDビジョンの場合は組み立て作業費が必ず発生しますが、液晶ディスプレイをお客様ご自身で設置する場合は、設置費用を安く抑えることも可能です。
LEDビジョンと液晶ディスプレイ、自分の現場にはどちらが合う?
7つの項目でLEDビジョンと液晶ディスプレイの比較をしながら、その違いを解説しましたが、ここでは実際に建設現場に設置されたデジタルサイネージの事例を紹介します。
自分の現場に近い事例を参考に、LEDビジョンと液晶ディスプレイのどちらが適しているのかを考えてみてください。
事例1:屋外用LEDビジョン150インチ(秋田県)
作業員が500名規模の大きな建設工事に150インチのLEDビジョンを設置した事例です。
この事例は大規模な建設現場であり、設置場所も作業員から離れていたため、LEDビジョンでも十分に情報が見える距離にデジタルサイネージを設置できる現場でした。そのため、大型の場合にコストメリットがあるLEDビジョンが選ばれました。
事例2:屋外用LEDビジョン90インチ/液晶ディスプレイ55インチ(宮崎県)
ある工場の建設工事に90インチのLEDビジョン1台と、仮囲いに55インチの液晶ディスプレイを2台設置した事例です。
作業員から遠い場所に設置できる現場であったため、大型の場合にコストメリットがあるLEDビジョンをメインのデジタルサイネージとして設置しました。
さらに近隣の住民の方々に情報共有をするために、こちらは小型で近くでもきれいに見える液晶ディスプレイが仮囲いに設置されました。
事例3:屋外用液晶ディスプレイ65インチ(岐阜県)
ダム内の工事現場に65インチの液晶ディスプレイを設置した事例です。
こちらは現場事務所や詰め所のエリアが狭かったため、作業員が近くでデジタルサイネージを見る現場でした。そのため、近くでもきれいに見え、小型の場合にコストメリットがある液晶ディスプレイが選ばれました。
現場に特化したLEDビジョンと液晶ディスプレイのご紹介
デジタルサイネージは現場によって最適な種類やサイズが異なります。ヤマト広告ではLEDビジョンと液晶ディスプレイの両方で豊富なラインナップを取り揃えていますので、どんな建設現場にも対応可能です。
製品1:モニたろうDシリーズ(LEDビジョン)
大規模な工事現場で、大型のデジタルサイネージの設置を検討している方は、LEDビジョン「モニたろうDシリーズ」がおすすめです。
デジタルサイネージの一部分が故障した際にも修理が簡単で、メンテナンス費用も安いことが特徴です。
製品2:モニすけ(薄型高輝度液晶ディスプレイ)
小規模な工事現場で、近い距離からデジタルサイネージを見る場合や細かい情報を表示させたい方は、液晶ディスプレイ「モニすけ」がおすすめです。
完成品が納品されるため、設置時間も短いことが特徴です。
現場によってLEDビジョンと液晶ディスプレイを使い分けましょう!
デジタルサイネージをまだ使ったことがない方や、LEDビジョンと液晶ディスプレイのどちらかしか使ったことがない方は、それぞれの違いをおわかりいただけましたでしょうか?
デジタルサイネージを設置する建設現場によって、LEDビジョンと液晶ディスプレイのどちらを選ぶかで、使い勝手もコストメリットも大きく異なります。
LEDビジョンと液晶ディスプレイのどちらを選ぶべきか専門家に相談したいという方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。